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研究分野
大武研究室では、ヒトとサービスについて研究します。ヒトの脳と心、それが作る社会や文化とヒトとの相互作用をモデル化し、ヒトと社会をもっと面白くするサービスを実際に設計しながら、ヒト学、サービス学という新しい学問を作っていきます。 ここで述べるサービスとは、ヒトや社会に対して効果を生み出すシステムを指します。機械システム、情報システム、これらを組み合わせた実世界情報システムのほか、社会システムや制度、文化や芸術までを含みます。その基盤となるのがヒトの特に認知神経科学に関する知識の統合化研究です。世界を認識し、科学技術、社会や文化を形成するのはヒトの脳と心だからです。自然物ではないものはヒトが創り出した人工物なのです。

具体的には、ヒトが、何かができるようになるのを支援する技術、なりたい状態になるのを支援する技術を開発することを目的として、ヒトの認知神経モデルを構築し、計算、計測すると共に、運動学習支援システムや、会話支援システムなどを開発しています。以下の三種類の技術で構成されます。
  • 外から観測してヒトの内部状態を読みとる技術(計測評価)
  • 観測とモデルによりヒトの内部状態を予測する技術(モデリング、シミュレーション)
  • 外部刺激や行動によりヒトの内部状態を変える技術(システム開発)
特に、学士、修士、博士の学位研究では、高齢化が進む現代および未来社会において必要とされる認知活動支援サービスの、実社会への展開を視野に、その基盤技術を開発する革新的な研究テーマに取り組んでいます。
学位研究テーマ
大武研究室の学生が実施した、学位研究の論文題目は次の通りです。

<2008年度 学士論文>
  • 神経活動解析のための大域計算基盤の開発(井上洋太)
  • 認知症予防を支援する共想法での会話計測評価技術の開発(鈴木千晶)
  • 運動の特徴を提示可能なトレーニングシステムの開発(中居雅明)
<2007年度 学士論文>
  • 階層的カオスニューラルネットワークを用いたエピソード記憶モデル(江本伸悟)
  • 他者の視線が作り出す注意の場に関する研究(中本周平)
  • BMIを主体とする頭部マルチモーダルインタフェースの開発(松山啓士)
継続研究テーマ
様々な研究プロジェクトに参加しながら、一貫して新分野を開拓する研究に従事してきました。また、科学技術のみならず、文化や芸術、ライフスタイルに関する知識を共有し、よりよく生きることに役立てる情報デザイン手法を開発してきました。これまでに実施した、あるいは現在進行形の、研究室設立前から実施してきた継続研究テーマは次の通りです。これまでの研究を踏まえつつ、これにとらわれずに、新しい研究テーマに取り組んでいきます。

神経系の双方向マルチスケールシミュレーションの研究
  • 脊髄神経情報処理手法の開発
  • モデルデータベースに登録された神経細胞モデルの再構成手法
  • マルチスケールシミュレーションのための並列計算基盤の開発
ゲルロボットの研究
  • 機能性高分子ゲルのモデリングとシミュレーション
  • シミュレーションに基づく柔軟機械システムの設計と制御
デジタルミュージアム日本民藝館の構築
神経系の双方向マルチスケールシミュレーションの研究
Information flow between the musculoskeletal system and the nervous system of the human bodyヒトは、他人の動作を外から観察して、その内部状態をある程度推測することができる。例えば、診察室において神経内科医は、患者が診察室に入る時の歩行の具合などを手がかりに、神経系にどのような病変があるかを大まかに推定することができる。このようなことが可能なのは、運動系が、神経系の主要な出力チャンネルであるからである。逆に、身体運動情報は、筋紡錘やゴルジ腱器官などの運動感覚器官により検知され、神経系への入力になる。これらの感覚器官からの情報は、神経系において統合され、身体感覚(体性感覚)を形成する。
神経系モデルを構築し、ヒトの神経系が行っている身体運動情報を処理する過程をできるだけリアルに再現することができれば、以下に挙げるような応用へつながる[1]。
(1) 主観的な身体感覚を客観的に読み取ることができるヒューマンインタフェース
(2) 神経系の機能を身体運動から評価することが可能な、運動性神経疾患の診断支援システム
(3) 身体運動が神経系に与える影響を検討することができる、トレーニングおよびリハビリテーション支援システム
これらの応用は、神経系シミュレータに、モーションキャプチャ装置と筋骨格系モデルを組み合わせることにより実現する。モーションキャプチャシステムにより計測したヒトの運動を筋骨格モデルに写像することで、筋長や筋張力を計算で求めることができ、市販の筋骨格系モデルも存在する。
そこで本研究では、筋骨格モデルと接続することが可能な、筋運動情報を入出力とする神経系シミュレータに焦点を当て、開発する。具体的には、下記に挙げる要素技術と、これらを統合したプラットフォームの開発を行う。

参考文献:
[1] 大武美保子.神経系の双方向シミュレーション―人の動きを体の内側から読む―.電子情報通信学会誌, vol. 88, no. 11, pp.909-913, 2005. (abstract)(pdf)
<脊髄神経情報処理手法の開発>
Somatosensory image of spinal cord at C5 during sword swinging 'kesagiri' motionヒトの行動をマルチモーダルに計測し、筋骨格系の詳細モデルに基づいて、筋や腱などの運動器官の長さやに発生する張力を計算する。この結果に基づいて、運動器官から脳へどのような電気信号がフィードバックとして送られ、脳内情報処理に影響を与えているのかを計算する手法について研究を行った。この研究において、これまで十分に研究がなされてこなかった、解剖学的知見に基づく神経系のモデリングの必要性を感じ、神経系筋支配モデルを構築した。脊髄は外から見るとなめらかな1本の管であるが、出入口が脊椎骨の隙間と同じ数あり、31層に分かれており、機構的あるいは機能的に関連のある筋と結合する神経が同一部位の脊髄とつながっている。筋運動情報は、筋紡錘やゴルジ腱器官などの運動感覚器官において、長さおよび伸長速度を表す神経信号に変換される。この知見に基づいて、全身の筋運動情報を、支配脊髄単位でまとめ解剖学的知見に基づいて空間配置し、運動情報を神経情報に変換し、運動学習を支援する手法を開発した。この手法を用いると、外から運動を計測するという非侵襲の方法で、脊髄神経に到達する神経情報を断層画像のように輪切りにして可視化することができる[1, 2]。

参考文献:
[1] Mihoko Otake and Yoshihiko Nakamura. Spinal Information Processing and its Application to Motor Learning Support, Journal of Robotics and Mechatronics, Vol. 17, No. 6, pp. 617-627, 2005. (abstract)(pdf)
[2] Mihoko Otake and Yoshihiko Nakamura. Anatomical Model of the Spinal Nervous System and its Application to the Coordination Analysis for Motor Learning Support System, In Proceedings of the IEEE International Conference on Robotic Systems, pp. 847-852, 2005. (abstract)(pdf)
<モデルデータベースに登録された神経細胞モデルの再構成手法>
System structure of the integrated simulation environment運動に係わる神経系全体の状態をシミュレーションするためには、詳細な神経系モデルが必要になる。神経細胞の性質は部位により異なり、論文から一つずつモデリングし、検証するのでは、全体をシミュレーションするところまで到達するのが困難である。幸いなことに、神経科学者により記述された神経系の部分モデルが,レビューされ、データベースに多数登録されている。代表的な神経モデルデータベースから、シミュレーションに必要な神経系のミクロモデルを収集した。
神経細胞モデル実行環境には、テキストで書かれたモデルスクリプトファイルと、コマンドを受け取るシェル、コマンドおよびスクリプトファイルを解釈するインタープリタとインタープリタから呼び出される計算エンジン、対話的な入出力のためのユーザインタフェースが含まれる。データベースに登録された神経細胞モデルは、本来単体で動かすように作成されたものであるため、そのままでは複数モデルを同時に計算し、外部プログラムと入出力を授受するといったことはできない。入力はスクリプトファイルの内部に変数と共に埋め込まれ、出力はグラフプロットの形で表示される。そこで、入出力をモデルの中で整理し、切り分けることにした。入出力ファイルの形式として、土井らの開発したUDFフォーマットを採用した。データフォーマットが規格化されていないモデルに対して、物理量を自由に定義することができるからである。プロットコマンドの中に入出力変数が埋め込まれているという性質に着目し、入出力を効率よく同定する手法を開発した。これにより、100個以上あるモデルの同定を高速に行うことができるようになった。

参考文献:
[1] Mihoko Otake and Toshihisa Takagi. Reassembly and Interfacing Neural Models Registered on Biological Model Databases, Genome Informatics, vol. 16, no. 2, pp.76-85, 2005. (abstract)(pdf)
<マルチスケールシミュレーションのための並列計算基盤の開発>
Pipeline Processing Along a Ring並列計算および認識技術の専門家との共同研究を通じ、並列計算ツールであるGXP,MPICH, SCALAPACKを用い、a) リング状にネットワークしたクラスタでパイプライン処理するシステムや、b) 大規模な行列計算を高速に行うシステムを構築した。ヒトの全身運動の動画像データを対象にCHLAC特徴抽出を行うシステムを開発した。
a)のシステムでは、画像は、ビデオカメラを接続した計算機からクラスタに送信した。クラスタ内での通信をリング状のネットワーク接続を通して行わせた。このネットワークでは、 まず1台に画像を送り、クラスタ内で通信を行うことで、その画像を必要とする他の計算機に画像を送る。このため、ネットワークへの負荷は小さくなる。また、このようにすることで、処理の終わった計算機を効率よく再利用できるようになった。
b)のシステムでは、CHLAC特徴が画像ごとに独立に計算することができるため、GXPを用いて時系列画像データ毎に、各プロセッサを割り当てることによって並列実行した。GXPとは、田浦らが開発した、大量のプロセッサに対して同時にコマンドを投入することができるツールである。また、特徴抽出の際に行う共分散行列の計算には、通信ライブラリMPICHを用いた。固有値問題における固有値、固有ベクトルの計算では、各プロセッサに連続した領域を割り当てつつも負荷を均等に保つため、並列数値計算ライブラリであるSCALAPACKを利用し、行列をブロック・サイクル分割して並列実行した。

参考文献:
[1] Takayoshi Shiraki, Hideo Saito, Yoshikazu Kamoshida, Katsuhiko Ishiguro, Ryo Fukano, Tatsuya Shirai, Kenjiro Taura, Mihoko Otake, Tomomasa Sato and Nobuyuki Otsu. Real-Time Motion Recognition Using CHLAC Features and Cluster Computing, In Proceedings of the IFIP International Conference on Network and Parallel Computing (NPC 2006), pp. 43-49, 2006. (abstract)(pdf)
[2] Yuuki Horita, Satoshi Ito, Kenji Kaneda, Takuya Nanri, Yasuyuki Shimohata, Kenjiro Taura, Mihoko Otake, Tomomasa Sato and Nobuyuki Otsu. High Precision Gait Recognition Using a Large-Scale PC Cluster, In Proceedings of the IFIP International Conference on Network and Parallel Computing (NPC 2006), pp. 50-56, 2006. (abstract)(pdf)
ゲルロボットの研究
Starfish-shaped gel robot made of EAP that turns over全身が筋肉でできた生体のように柔らかい機械の実現は機械工学における夢の一つである。電場応答性高分子材料を用いたロボットの研究はその可能性への挑戦である。ゲルは、高分子が三次元網目状に絡まりあった間隙に溶液が保持されている構造を持つため、物理的な柔軟性を持ち、溶液を通じて、外部環境とエネルギー・物質・情報を交換することができるなど、未来のロボットの材料として魅力的な可能性を秘めた素材である。
機能性高分子材料の研究開発は高分子科学の分野で活発に行われており、センサーやアクチュエータとして機能する高分子材料が開発されその高機能化が進行中であるが、現実に人工筋肉やセンサーとして十分に使えるものは未だ得られていない。本研究は、このようなメカノケミカル材料が将来開発されることを予見して、ゲルを用いた新しい機械設計制御手法を構築しておくことを意図するものである。即ち、本研究は、機能性高分子材料の形状と変形制御を機械工学設計論および制御論の立場から取り上げて、形状設計と制御の理論とシミュレータ、軟体動物型ゲルロボットの開発を行った。以下に概要を述べる。

参考文献:
[1] Mihoko Otake. Modeling, Design and Control of Electroactive Polymer Gel Robots(電場応答性高分子ゲルロボットのモデリング・設計・制御), 東京大学大学院工学系研究科学位論文, 2003.
[2] Mihoko Otake. Modeling, Design and Control of Electroactive Polymer Gel Robots. WW-EAP Newsletter, vol. 5, no.1, pp. 6-7, 2003. (abstract)(pdf)
[3] 大武美保子.ゲルアクチュエータ.日本ロボット学会誌, vol. 21, no. 7, pp. 713-716, 2003. (abstract)(pdf)
[4] 大武美保子.スマートゲル.日本ロボット学会誌, vol. 24, no. 4, pp. 460-465, 2006. (abstract)(pdf)
<機能性高分子ゲルのモデリングとシミュレーション>
Deformation of the beam-shaped gel in a spatio-temporally uniform electric field機能性高分子の中でも、電気化学的活性の高いイオン性高分子ゲルと界面活性剤分子で構成される系を対象に、ゲルと分子のミクロスケールの振る舞いを、電気、化学、機械的現象に分けて順次モデル化した。具体的には、下記の三段階に整理される[1-3]。
(1) 電場による分子の泳動と、局所的な電流密度勾配の計算(電気的)
(2) 分子の高分子鎖への吸着と解離の計算(化学的)
(3) 分子と高分子鎖の相互作用に基づく応力発生の計算(機械的)
以上により、ミクロスケールの現象の記述から、マクロスケールのゲルの変形をシミュレートすることに成功した。主要なパラメータは(2)で必要となる吸着定数と解離定数の二つであり、実験から導くことができることも明らかにした。

参考文献:
[1] Mihoko Otake, Yoshihiko Nakamura, and Hirochika Inoue. Pattern Formation Theory for Electroactive Polymer Gel Robots. In Proceedings of the 2004 IEEE International Conference on Robotics and Automation, pp. 2782-2787, 2004. (abstract)(pdf)
[2] Mihoko Otake, Yoshiharu Kagami, Masayuki Inaba, and Hirochika Inoue. Dynamics of Gel Robots made of Electro-Active Polymer Gel. In Proceedings of the 2001 IEEE International Conference on Robotics and Automation, pp.1458-1462, 2001. (abstract)(pdf)
[3] Mihoko Otake, Masayuki Inaba, and Hirochika Inoue. Kinematics of Gel Robots made of Electro-Active Polymer PAMPS Gel. In Proceedings of the 2000 IEEE International Conference on Robotics and Automation, pp.488-493, 2000. (abstract)(pdf)
<シミュレーションに基づく柔軟機械システムの設計と制御>
Macro position control by large deformation構築したシミュレータを用い、機能性高分子ゲルの変形運動を制御する電極装置を設計し、形状や運動を制御する手法を開発した。シミュレーションに基づく実験の設計、実験装置の設計、入力電場パターンの探索を行い、すべて実験的に検証した。
(1) 一様定常電場中で片持ち梁状のゲルに波形状パターンが自発的に生成する現象を発見し、実験的に生成した[1]。さらに、空間的に一様な電場の極性をタイミングよく反転させることで、先端位置を制御する手法[2]、曲率が大きく変化する波形状を制御する手法[3]に展開した。
(2) 電極をアレイ状、およびマトリクス状に配置した電場生成装置を設計し、空間的に分布する電場を生成することで、ハート形状や凸形状などゲルの多様な変形挙動を引き出した[4, 5]。
(3) 空間的に分布する電場をタイミングよく平行移動させることにより、ヒトデ型ゲルロボットの屈曲反転運動実験[6, 7]や、触手状ゲルロボットのまきつき運動実験などに成功した。
人工筋肉から要素部品でなく機構全体を構成する試みは世界初であり、その独創性は世界的に注目を集めている。特に、ヒトデ型ゲルロボットの全身協調動作生成法について論じた論文は、知的自律システムに関する論文誌に招待論文として掲載された。電気化学反応と機構変形がカップリングする現象を積極的に活用するゲルの先端位置ならびに形状制御手法に関する研究は、ロボティクスの会議で研究奨励賞を受賞したり、非線形化学力学に関するゴードン会議に招かれたりする等の評価を受けている。本研究課題は、共同研究等を通じ、サブテーマとして長期的に取り組んでいる。

参考文献:
[1] Mihoko Otake, Yoshihiko Nakamura, and Hirochika Inoue. Pattern Formation Theory for Electroactive Polymer Gel Robots. In Proceedings of the 2004 IEEE International Conference on Robotics and Automation, pp. 2782-2787, 2004. (abstract)(pdf)
[2] Mihoko Otake, Yoshiharu Kagami, Yasuo Kuniyoshi, Masayuki Inaba, and Hirochika Inoue. Inverse Kinematics of Gel Robots made of Electro-Active Polymer Gel. In Proceedings of the 2002 IEEE International Conference on Robotics and Automation, pp.3224-3229, 2002. (abstract)(pdf)
[3] Mihoko Otake, Yoshihiko Nakamura, Masayuki Inaba, and Hirochika Inoue. Wave-shape Pattern Control of Electroactive Polymer Gel Robots. In Proceedings of the 9th International Symposium on Experimental Robotics, ID178, 2004. (abstract)(pdf)
[4] Mihoko Otake, Masayuki Inaba, and Hirochika Inoue. Development of Electric Environment to control Mollusk-Shaped Gel Robots made of Electro-Active Polymer PAMPS Gel. In Proceedings of SPIE Vol.3987 Electroactive Polymer Actuators and Devices (EAPAD) Y. Bar-Cohen (ed.), pp.321-330, 2000. (abstract)(pdf)
[5] Mihoko Otake, Yoshiharu Kagami, Kohei Ishikawa, Masayuki Inaba, and Hirochika Inoue. Shape Design of Gel Robots made of Electroactive Polymer Gel. In Proceedings of SPIE Vol.4234 Smart Materials A. R. Wilson et al. (eds.), pp.194-202, 2001. (abstract)(pdf)
[6] Mihoko Otake, Yoshiharu Kagami, Masayuki Inaba, and Hirochika Inoue. Motion design of a starfish-shaped gel robot made of electro-active polymer gel. Robotics and Autonomous Systems, vol. 40, pp. 185-191, 2002. (abstract)(pdf)
[7] Mihoko Otake, Yoshiharu Kagami, Yasuo Kuniyoshi, Masayuki Inaba, and Hirochika Inoue. Inverse Dynamics of Gel Robots made of Electroactive Polymer Gel. In Proceedings of the 2003 IEEE International Conference on Robotics and Automation, pp.2299-2304, 2003. (abstract)(pdf)
デジタルミュージアム日本民藝館の構築
STAMP collage of the museumウェブ技術に出会った時、美術館博物館巡りが好きだった大武は、これでデジタルミュージアムが作れると直観した。そこで、展示空間そのものが作品であるという考えに基づいて、民家を改造して作られた日本民藝館をネットワーク上に再構築することにした。民藝という一見デジタルと相容れなさそうに見えるアナログな文化を持ち込むことで、ネットワークがより創造的な場になりうると考えたのである。企画書を持って館を訪れ、許可を頂いた。約3ヶ月かけて文献を調べ上げ、コンテンツ化し、1995年にオープンした。その後は、小学生を含む広範の世代の、世界中の方に訪れて頂き、展示と同時にその根本となる用の美の思想を伝えることができた。情報デザインを実践的に研究することを目的とする用の美システム研究会を作り、その仲間と共に制作、運営を10年間継続した[1, 2]。
2001年から2002年にかけて、観客が美術館を鑑賞するプロセスを作品化することにより、効率的にコンテンツを制作する手法を考案し、ワークショップ形式で観客がデジタルミュージアムを制作するという世界初の実験を行った。研究成果をまとめた論文をコンピュータヒューマンインタラクションに関する国際会議で発表したところ、会議中に開催されたハイライトのパネルディスカッションに選出され、注目を集めた[3]。
活動を自然な形でコンテンツ化するスタイルは、研究・教育・社会活動の基盤となるものである。現在は制作会社に制作を引き継いでいるが、得られたノウハウやヒトのつながりを今後の活動に活かしていきたい。

参考文献:
[1] 大武美保子. 七年目を迎える日本民藝館ホームページ, 民藝, vol.582, pp.28-32, 2001. (abstract)(pdf)
[2] 大武美保子. 日本民藝館インターネットで情報発信, 民藝, vol.520, pp.62-64, 1996. (abstract)(pdf)
[3] Takashi Kiriyama, Mihoko Otake, Hiroya Tanaka, Junichi Tokuda, Haruka Tanji, Takeshi Matsushita, Masatoshi Arikawa, and Ryosuke Shibasaki. Exploring Exhibit Space in a Personal Perspective: An Interactive Photo Collage of a Folk Crafts Museum. In Proceedings of ACM SIGCHI Designing Interactive Systems, pp. 393-398, 2002. (abstract)(pdf)

リンク:
- 日本民藝館(1995-2005)
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